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古い雑誌を読む(1)


3月 4th, 2013 | Permalink

最近古い雑誌を立て続けに仕入れました。

週刊誌、女性誌、文芸雑誌などさまざまなものがありますが、ビジュアル的にも面白い広告やグラビアのあるものをいくつか紹介します。

昭和30年代から40年代のものが多く、このあたりは人気があります。

よかばい堂店主の10代20代とも重なっている頃なので、可能な限り記憶を呼び起こしてご紹介します。

まずは「週刊朝日カラー別冊 1970年 winter」

特集は「インテリア」

岸田今日子、石井好子、イーデス・ハンソン、勅使河原蒼風などが自分の部屋を紹介する内容。

岸田今日子には「新劇女優」という肩書がついている。

この年の前後から始まったテレビアニメ「ムーミン」で複数の役の声を担当していたと記億。

あと、五木寛之の「モルダウの重き流れに」が一挙掲載(100枚)。

この作品、この雑誌が初出だとは知らなかった。

「さらばモスクワ愚連隊」で直木賞をとったのが数年前だから、当時は新進気鋭の作家だったはず。

モスクワとかモルダウとかプーキシンなどといったロシア東欧の固有名詞を好んで使う人だった。

早稲田の露文科出身だからとういうこともあろうが、社会主義への幻想がまだ残っていた時代だからだろう。

その特集「インテリア」から横尾忠則のページをご紹介。

彼もまた当時は新進気鋭のデザイナーだったはずだ。有名なサンタナのレコードジャケットは多分この数年後。

写真右上の神棚横にビートルズの写真が貼られている。これはいわゆる「ホワイトアルバム」の付録。

横尾忠則にかぎらず多くの取り上げられた人の文はインタビューを起こしたもののようだが、高峰秀子の文章はご本人が書かれたもののようだ(違っていたらごめんなさい)。

あの男っぽい断定口調のエッセイのファンはおわかりだろう。

そうかと思えば、中にはこの短い文の最初から最後まで自慢話で埋め尽くしているご仁もおられる。

ご興味のある方は実物をご覧ください!

後ろ見開きにはサンスイのステレオの広告。

ページが折れて残念だが、もちろん浅丘ルリ子さん。

最近ご自身で二十歳前後の頃に小林旭と同棲していたと暴露したが、これはそれより数年後ぐらいだろうか。

浅丘さんは他の古雑誌でも拝見するが、本当にお美しい。

あと、忘れてはならないのがフランスの大スタージャン・ギャバンとの独占インタビュー。

よくインタビューできたものだと思ったが、編集後記でその経緯が説明されている。それに添えられたスナップ写真が魅力的だ。

大スターなのに大型セダンの後部座席じゃなく、小型車の助手席に乗っているのがちょっと不思議。

当時はフランスの代表的な大型車はぺちゃんこのカエルみたいなシトロエンだと思うが、それではなさそう。

もっと小さいクルマのように見える。

詳しい人ならこの写真だけで車種がわかるだろう。

福岡市城南区での本の引き取り


2月 27th, 2013 | Permalink

福岡市の中心から南へ向かうと油山というちょっとした山があります。

「あぶらやま」と読みます。

私が子供のころからここは市民の憩いの場所、というか子どものときは遠足の場所だった。

そして、小学校も中学校も校歌には油山が歌い込まれていた。

たぶん近隣の他校も同じだと思います。

何かの大会で他校の校歌を耳にして、なんだうちの学校の校歌と歌詞がほとんど同じじゃん、と思った記憶がある。

たしか川とか山とか博多湾とか、その辺はだいたいどの学校も出てきたような記憶が。

同じ福岡でも東区に行くと別の山が対象になるのでしょうが、中央・城南・南区あたりの区民には親しまれている山だと思います。

いまでも我が家の窓からは油山がよく見え、雪が降ってるとか、油山が見えないのは黄砂のせいとか、PM2.5じゃないかといっています。

山の中腹に展望台ができたのはいつごろだったのだろうか。

モータリゼーションの発達とともに、けっこうメジャーなスポットになりだした。

1960年代はすなわち小生が小学生のころ、母親が夕飯あとに「ちょっとドライブに行こうか?」とよく行ったものです。

あ、その頃の父親は、晩飯時は残業で家にいないという家庭が多かったのでは?

すくなくとも我が家ではそういうことが多かったと記憶。

市内の夜景を見るというのはちょっとした非日常経験で楽しかったと記憶してます。

数年後免許を取って自分の運転で行く頃は、デートスポットとなり夜はクルマが列をなしていました。

さて、蚤の市で古本を置かせていただいている「窓カフェ空」にご紹介いただいたご縁で本を引き取りに行ってきましました。

窓カフェの美人ママPさんと油山観光道路沿いの某所で待ち合わせ。

なにやら素敵なクリーム色の小型カブ単でさっそうと登場。

そこからはよかばい堂のクルマに同乗いただき目的地に向かいます。

場所は山の中腹にある木々に囲まれた古い民家。

我々が到着するとすでに民家のオーナーさんは民家の片づけ中。

建物の見事さが印象的。

豪華な建築ではないにせよ、趣味の良さが感じられる日本家屋です。

建築用語を駆使して説明できないのがもどかしいですが、外観をみただけで手の込んだ造りだといことがわかる。

どうやら彼はこの建物を手に入れて、リニューアルし別荘にするのか店舗にするのか、新しい用途に供するかのようでした。

詳しいことはそれ以上きかなかったのでわかりません。

オーナーさん、なんと「お金はいらないから、全部持っていってほしい」とのこと。

本の山を一見して、

古いながらも珍しいものが混じっているのがわかり、商談成立。

というのも、商品にならないものばかりだと無料でも引き取れない場合があるからです。

さっそく本の搬出を開始。

どうやら前オーナーが学校の先生だったらしく、大読書家だった様子。

50年以上前の朝日ジャーナルをはじめとした古い雑誌等が大量に出て来ます。

別荘の気やすさからか、自宅に置く場所がなくなったらこっちに持ってきていたのではないかと推測。

学校でつかったと思しきテキスト類も出て来ます。

傷みが激しく商品にならないものはクルマで処分場に直行。

弊店のクルマで2回往復してすべてかたが着きました。

2月末だけど天気も良く、適度な作業で冷たい風が心地よいぐらい。

Pさんは、その心地よさに誘われてか「帰りは下り坂を歩いて戻りま~す」とのこと。

自然児のような方だなとの印象を受けつつその場で散会。

よかばい堂は古い雑誌の買い取りをいたします。

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福岡県春日市で昭和レトロモダン系の古い雑誌を仕入れました


1月 19th, 2013 | Permalink

あちこちネットで覗いていると「昭和レトロモダン」という言葉を目にします。

さしずめこんな雑誌なんかそうじゃないかな。

昭和30年代から40年代ごろの高度成長期の雰囲気を伝える時に使われている模様。

1969年の秋の号。

この手の雰囲気がリバイバルしてるんでしょうか。

モデルさんが跨ってるのはホンダのモンキーじゃないかな。

最初の見開き。

左ページの広告のモデルは芳村真理。

大島渚監督の誘いを受けて女優デビューしたのが1960年。

この頃(1969年)は女優とモデルとどちらもやっていたことがわかります。

こうやって見るとなかなお洒落です。

見飽きません。

この手の雑誌やその他の本を、2月に福岡市中央区内のカフェが主催する「蚤の市」に出品する予定です。

詳細が決まったらまたお知らせします。

よかばい堂は手芸雑誌や手芸の本の買い取りをしています。

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よかばい堂の本のクリーニング


1月 18th, 2013 | Permalink

今日はよかばい堂の本のクリーニングについてご紹介します。

先日仕入れた古い本。

ビニールカバーがついています。

このビニールカバーが曲者で、古くなるとゴミを吸着してひどく汚れていることがあります。

たとえばこんな感じ。

これを外して、アルコールを吹き付けて拭き取ります。

丁寧な作業をしているのはバイトのsachiさん。

黙々と作業は続く…。

完成。

最初にお見苦しいところをお見せした分厚い本もこの通り。

きれいになりました。

よかばい堂ではさまざまな本の買い取りをしています。

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新入荷 『Pero 伊坂芳太郎作品集成』


11月 29th, 2012 | Permalink

伊坂芳太郎は1928年生まれのイラストレーター。1970年42歳の若さで早世しています。

われわれのように1950年代前後の生まれの者ならそのタッチはどこかで見覚えがあり、懐かしさを感じるでしょう。

ビッグコミックの表紙や絵本などでも活躍していたようです。

出版社はParco出版。土屋耕一や草森紳一が文を寄せています。

 

よかばい堂は美術書、写真集、イラスト集、広告関係の書籍などの買い取りをいたします。

お電話でご相談いただければ、本の種類や冊数をお尋ねし大まかな概算見積もりをすることも可能です。

まずはお気軽にご相談ください。

お電話お待ちしています。

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古書の愉しみ 保育社 カラーブックスシリーズ


11月 25th, 2012 | Permalink

このシリーズの古いものは見ているだけで楽しいですね。

なんといってもその魅力は写真。

「東京の味」シリーズは、今で言うグルメ本のはしりかもしれません。

料理の写真もさることながら、映り込んでいる人物の髪形や服装に目が行きます。

意図しないところにその時代の無意識が出ているのが面白いですね。

プロのカメラマンではない著者が撮ったものなどが使われているのでしょう。

いまどきの出版物ではダメ出しされそうなお気軽なスナップが使われていたりします。

でも、そういうものが却ってこちらの気を引きます。

目の前の客の後頭部が大きく映り込んでいたり、カメラ目線で乾杯しているカウンターの酔客の姿とかを見つけるのが楽しかったりもします。

また文体や語彙も時代を反映しています。

昭和48年(1973年)初版の『東京の味Ⅱ』には「ヤング」という言葉が頻出します。

若い人にはわからないかもしれません。当時は「若者」という意味でよく使われていました。

「ヤングのための酒場 京王プラザホテル ヤング・バー」の項には「ヤング・ピープルのためにデザインした、ヤングのためのバーである」とあります。

「四角いピザ シシリア」の項には「かつてのヤングのアイドル水谷良重の走り書きで始まった落書きで、店内の壁から天井までまっ黒になっている」とあります。

ホテルのバーが「ヤングバー」なのですから、この言葉はそうとう流行っていたのでしょう。

水谷良重がヤングのアイドルだった、とは知りませんでした。

なんだかみうらじゅんが古い絵葉書を解説した『カスハガの世界』みたいになってきました。

 

ピラフが紹介されていますが、これってドリアのような気がしますがどうでしょう。

その辺の区分はまだ未分化の時代があったのかもしれません。

 

そういえば昔は喫茶店でピラフを食べて、レモンスカッシュを飲むのが若者のデートの定番だったような気がします。

それ以上のおしゃれな食べ物や飲み物が大衆化するのはもう少しあと(『なんとなくクリスタル』や「ポパイ」「JJ」の頃)だったと思います。

 

 

一方でさすがに名店は今でもまだ残っている店も多いです。

うなぎの野田岩は、個人的に懐かしい店です。

20年近く前になりますが、サラリーマン時代に出向していた研究所で会議の時にはよくここの出前をとっていました。

いま思うとずいぶん贅沢な出前だったです。

 

この「東京の味シリーズ」は1960年代~70年代に初版が出ているので、当時の空気が強く感じられます。

これも古本の愉しみのひとつですね。新刊本ではなかなか味わえないもののひとつでしょう。

 

同カラーブックスの『ハワイガイド』は昭和44年(1969年)の初版。

東京オリンピックが終わり5年経ち、翌年は大阪万博をひかえた年。

大学紛争のピークで東大の入試がなくなった年だったはずですが、

同時に消費社会もピークに向かっている頃で、海外旅行の大衆化も始まった頃です。

奥付によれば著者は日本航空の社員。

JALパックの料金も紹介されています。

4泊6日で19万3000円。

初任給が数万円の頃でしょうから、その数か月分なのでしょう。

 

ずいぶん長くなりましたが、「カラーブックスシリーズ」を紐解きながら、古書の世界を散策してみました。

 

追記2014.2.9

ヤングという言葉が多く使われていると書いたけど、けっきょくこれって団塊の世代の別称ではないのかな?

当時のヤングとはすなわち団塊ですね、間違いなく。

1970年前後の20歳前後は戦後のベビーブーマー=団塊の世代。

けっきょくこの世代が 時代ごとに別称を持ち脱皮を繰り返していくというイメージ。

いまはシルバー世代とか呼ばれてるところのものでしょう。

しかし、そのネーミングがあまりにもトホホな感じなのは、今ほど外国語を使ったネーミングテクノロジーが発達してなかったからだけ?

 

よく考えるとその頃ネーミング(に限らず、社内で意思決定をする場合)の権限を担っていたのはおそらく当時の40-50歳の人間のはず。

つまり1920年代頃に生れた人たち。大正から昭和ひとけたの人。

そう思うとなんとなく納得できるような気もします。

 

 

「最近は戦後生まれのベビーブームの連中が増えたから、彼らにどんどん店に来てもらいたいね。連中はとにかく数が多いからこれからはいい客になってくれるはずだよ。違うかねキミ?」

この部長さんおそらくは「ベビーブーマー」とは言わなかった気がする。

もちろん「団塊の世代」という言い方もまだ当時はなかった。堺屋太一の同名小説は70年代後半になってから。

そういうちょっとしゃらくさい、より英語的に正しいカタカナ語は、多分もう少し後の1970-80年頃になってから使われ出したんじゃないかな。

いえ、未確認なので間違っていたら訂正します。

 

とまあ、そんな大正生まれの部長の声を受けて昭和一桁生まれの課長が、

「おっしゃる通りで。じゃ、部長ひとつここは英語を使ってはどうでしょう。若者のことをヤングというそうだですから、それでいきませんか?」

「お、いいね、さすが昭和生まれはセンスが違うね。英語と来たかい。ヤングの集まるバーでヤングバーか!」

「いや、お見事。部長、さすがに海軍ご出身だけあって英語はお手の物ですなあ」

「はっはっは。これからはヤングの時代だよ。君たちも頑張りたまえ」

というような会話が行われたかどうかわかりませんが、こちらの妄想がここまで暴走してしまうほど、

当時の古本には面白みがあるということで。

お後がよろしいようで。

 

 

 

 

 

 

 

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