よかばい堂店主は福岡の月刊誌「フォーNET」に「せどり屋雑記帖」と題する古本にまつわるコラムを連載中です。
毎月2冊弊店で取り扱ったプレミア本を紹介しています。
同誌のご厚意により過去の掲載分を転載させていただきます。
「月刊フォーNET」2012年12月号掲載分(その2)
植生からよむ日本人のくらし―明治期を中心に
小椋 純一 (著)
出版社: 雄山閣出版 (1996/09)
この夏、家族で大分に行き九重の草原地帯を車で走った。
台風上陸前の強風にあおられる草原の光景は雄大かつ壮大、生意気盛りの子供たちすら感嘆の声を上げたほどだった。
そのときふと疑問が湧いた。草原とはいったい自然なのか人工なのか? 草原をあるがままに放置すれば自ずと森林となるのではないか? 草原であり続けるには放牧・焼畑などの人為を必要としないか? すなわち草原とは人為により成るもの、人工的なるもの、あるがままの自然とは異なるのでは、という疑問だ。
もしそうだとするなら、いつごろからどうやって草原を作ってきたのだろうか。しかしヤマトタケルが熊襲を襲ったときはすでに阿蘇は草原だったような気がするが、その頃から焼畑か牧畜をしていたのだろうか?
こんな疑問が次々と湧くので帰宅後『草地と日本人』という本を読んでびっくり。つい最近まで日本は草原だらけだったそうだ。
でこの本だが興味深そうな図版がたくさんある。写真や浮世絵などを丹念に調べると当時草原があった場所がわかるという。もう少し読みたかったが、後ろ髪を引かれる思いで本を送り出した。
同コラムの過去の連載分は以下のブログでご覧いただけます。
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