この美しい横顔の持ち主は影万里江さん。
どういう人か知らなかったのでウィキペディアを見たら、劇団四季の女優で浅利慶太の2番目の妻だったそうだ。
この表紙だけで充分素晴らしいが、中身も少し紹介。
表紙を開くといきなり最初の記事の見出しが飛び込んでくる。
目次はその下に。
当時はこういうレイアウトが主流だったのか。
「月給を2倍あげます 岸・池田のソロバン勘定」というのがその記事のタイトル。
いまや現代史の教科書にも出ている高度経済成長期の池田勇人の「所得倍増論」。
所得倍増といえば池田内閣と思っていたが、当時はまだ岸信介首相で池田勇人は通産大臣。
記事のリード部分にはこうある。
「月給がニ倍になる―庶民というものは、いつもこんな、いじらしい夢をみ続けている。
そこへもってきて、岸首相、池田通産相の”月給ニ倍論”だ。ホントかな?
ただ、口あたりのいいPR文句だったとしたら、それは罪というものである。」
時の政権を揶揄しつつも、どこか期待感をにじませた論調に時代の空気を感じる。
記事によれば、あるアンケートで調べた十万円あったら何が欲しいかというベストテンは、
1.テレビ、2.旅行、3.衣料品、4.写真機、5.電気洗濯機、6.電気冷蔵庫、7.電蓄、8.テープレコーダー、9.住居費、10.8㎜撮影機
だそうだ。
今日では1、4、7、8、10はすべてスマホ一台に入ってしまった。
(7の電蓄というのは電気蓄音機の略でいわばレコード等を再生するもののこと)
ここだけ見たら、当時のアニメや漫画以上の21世紀になっている。
社会科の「生きた教材」に使えそうな雑誌であります。
これで終わりかと思いきやどうしてどうして。
最後にこんな三行広告が載っていた。
今では新聞社系の雑誌では決して見ることのできない怪しげな広告。
中でも「奇書」の大書が目を引く。
岡田甫、水揚帳などの固有名詞を手掛かりに調べてみたが、大したことはない。
岡田は日本文学の研究者のようだし、水揚帳は江戸期の艶本らしい。
三行広告というだけで勝手にあやしげなものと思ってしまったが、どうやら思いすごしだったようだ。
追記:2枚目の写真の右上のダイヤエースの広告の写真は浅丘ルリ子さんです。
愛らしいですね。