古本・古書、CD・DVD高価買取のよかばい堂。全国対応の宅配買取と、福岡・九州を中心に出張買取も致します。

月刊フォーNET 連載コラム 「ネット古本屋のつぶやき」 7月号


 よかばい堂、都城で8年ぶりの再訪を果たすの巻

 8年前の熊本地震の年に都城まで買い取りに行ったことがある。九州自動車道は寸断されており、やむなく東九州自動車道を使ったことを覚えている。古くて珍しい本が多く、遠征したことが報われる出張だった。本の所有者は90歳過ぎで何年か前に他界したそうで、そのお孫さんから依頼を受けたのだ。そのお爺さんは地元で校長をしていたらしく、仏教思想系の本が多かった。

 本の買い取りが終わったところで、依頼者である校長の孫が茶を飲んでいけと自宅に呼んでくれた。家は近所だという。お茶を飲みながら話を聞くと、彼の父親も校長を勤め上げ、祖父に輪をかけた本好きらしくさらに大量の蔵書があるという。それはぜひ見たいというと、十畳ほどの部屋に案内された。まさに汗牛充棟。ざっとみても1万冊はくだらなかった。

 「父はまだ90過ぎで存命ですが、いずれこの本も処分しなければならず、その時はまたよろしくお願いします」と言われた。

 さてそれから8年後の今年、その人から電話を受けたのである。よく覚えていてくれたものだ。

 「お久しぶりです、たしか8年前にお邪魔しました、あの時はおじいさまの本を買わせていただき、たしか御尊父は90過ぎでいらしたはずですが。え?104歳で今もご健在!それは素晴らしい」と8年ぶりの会話である。

 さて、先方さんはいよいよ1万冊の本の処分に入るから再訪してくれないかという。とはいえ都城は遠い。しかも、1万冊とはいえ使える本はさほど多くない。8年も前ではあるが一度見たから覚えている。教育指導法の本などはほとんど売れない。おそらく多くの教師が持っているからだろう。一般書店では見かけないが意外と多く売れていると思う。希少価値は小さい。

 全体の十分の一も買えるかどうかわかりませんよ、それでもいいですか、それに遠征費用がかかるのでお渡しできる金額も限られると思いますがかまいませんか、と伝えたが、それでも構わない、捨てる前にプロに見てもらえば心置きなく処分できると言う。

 そこまで言われたならば、いっそのこと仕事半分観光半分で行ってみるか、都城なんてそうそう行く機会があるところじゃないし、かみさん孝行のチャンスでもある。調べてみると、近くにはめったに脚を伸ばすこともない観光地、都井岬や飫肥があるではないか。

 というわけで行ってきました、都城。飫肥に泊まり、都井岬はもちろん鵜戸神宮も行ってみたが、どこも実に素晴らしかった。

 飫肥城のある日南市の城下町は古い街並みで、台湾からとおぼしき団体客や欧州系のカップルなど外国人も散見されたが、オーバーツーリズムというほどではなく、落ち着いた雰囲気だった。

 さて本業についてだが、8年前の記憶は意外にも間違っておらず、たしか「性教育」というコーナーがあってそこにはかなり俗っぽくて古本屋が喜びそうな本があったと記憶していたが、確かにその通りだった。

 やはり1万冊もあると、おおこれは、というような本があるものだ。1%あったとしても100冊はあるわけだから量は大事なのである。

 帰りに都城インター近くの道の駅に寄ったのだが、今まで見たどこの道の駅よりもオシャレな造りでおどろいた。

 

関連記事はこちらから

Tags: , , ,

最近の投稿

カテゴリー

よかばい堂のGoogle+のページ

Google+